保土谷化学健康保険組合

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新着情報

[2025/04/30] 
ティーペック健康ニュース「新生活のストレスケア 心と体のセルフチェックと対策」

第391号 2025/4/30

 

ティーペック健康ニュース

 

発行:ティーペック株式会社

 

今月のテーマ

「新生活のストレスケア 心と体のセルフチェックと対策」

 

桜の季節、新年度を迎え、新しい環境での生活が始まる方も多いのではないでしょうか。環境の変化は期待と不安が入り混じるもの。新しい環境に移る場合は誰もが少なからずストレスを感じやすくなります。本記事では、ストレスのサインを見逃さないためのチェックポイントと、すぐに実践できる対策法をご紹介します。

 

なぜ環境変化がストレスに?ストレスのメカニズム

ストレスとは、外部からの刺激(ストレッサー)に対する心身の反応(ストレス反応)のことです。新しい職場や学校、引っ越しなどの環境変化は、誰にとっても大きなストレッサーとなるものの一つです。慣れない環境では、「うまくやれるだろうか」「周囲に受け入れられるだろうか」といった不安や緊張が生じやすく、これらがストレス反応を引き起こします。

緊張や不安に対して、私たちの体は「“闘争”か“逃走”か」という反応を示します。ストレスホルモンとも呼ばれるアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌され、心拍数が上がり、血圧が上昇し、筋肉が緊張するなどの体への反応が表れます。これは外敵や緊急事態に素早く反応できるように、体をいわば「戦闘態勢」に入らせるためのものです。この反応は、本来は人間の体に備わる危険から身を守るための重要なメカニズムです。一時的なストレスであれば、時間の経過で自然にいつもの状態に戻ります。しかし、慢性的にストレッサーにさらされ続ける状況に置かれると、やがて心と体にさまざまな悪影響が表れるようになります。

 

セルフチェックで心と体からのメッセージに気付く

ストレスに対応するには自分がどのような状態なのか、気付くことが重要になります。自分の心と体が発するメッセージに気付くことができれば、ストレス過剰で心と体に悪影響が表れる前に対処できます。

次の表は慢性的なストレスによる心、体、行動の変化の例です。これらの変化がないかをセルフチェックしてみましょう。もしも複数の変化が長期間続いている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、ストレスが過剰な状態が続いている可能性があります。セルフケアでストレスを軽減できるように工夫するとともに、早めに心療内科や精神科など医療の専門家に相談することをお勧めします。

 

■慢性的なストレスによる心、体、行動の変化の例

心の変化

・いつもイライラして、ささいなことで怒ってしまう

・気分が沈みがちで、やる気が出ない

・理由もなく悲しくなり、涙が出る

・不安や焦りを感じることが増える

・自分を責めてしまう傾向が強くなる

・何をしても楽しくなく、つまらなくなる

体の変化

・疲れやすく、いつもだるい

・頭痛や胃の不快感が続いている

・肩や首の凝り、腰痛などがひどくなった

・寝付きが悪く、夜中に目が覚めて眠れない

行動の変化

・集中力が低下し、ケアレスミスが増えた

・食欲が変化し体重が大きく変動した(急に痩せる、あるいは逆に太る)

・身だしなみへの関心が低下し、だらしなくなった

・お酒を飲み過ぎることが増えた、タバコを吸う本数が増えた

・好きだったことに興味がなくなり、無関心になった

 

ストレスに負けないための「3つのR」

ストレス対策の基本として広く知られているのが「3つのR」です。具体的には「Rest(休息)」「Recreation(気晴らし)」「Relax(リラックス)」を指します。

まず、「Rest(休息)」は心身を回復させるために不可欠です。中でも質の良い睡眠を確保することが最も重要です。就寝時間が一定になるように心掛けて、寝る1時間前からスマートフォンやパソコンなどの睡眠を妨げる機器の使用を控えましょう。寝室は静かで快適な温度(18~23℃程度)に保ち、寝具にも気を配って快適な睡眠環境を整えます。また、意識して適度な休憩をとることも大事です。新しい環境では緊張が続きがちですが、短い休憩を取るようにすれば休憩後に集中力が回復し、効率も上がるようになります。

次の「Recreation(気晴らし)」は、心と体に新鮮さをもたらす活動のことです。適度な運動はその代表例で、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ヨガなどが効果的です。趣味や好きな活動に取り組むことも気晴らしになります。好きな音楽を聴く、読書をする、料理をする、ガーデニングをするなど、自分が心から楽しめる活動でストレスから心を解放しましょう。

3つ目の「Relax(リラックス)」は緊張を和らげることです。深呼吸や簡単なストレッチなど、いつでもできるリラックス法を身につけることが大切です。例えば4秒かけてゆっくり息を吸い、6秒かけてさらにゆっくり息を吐く深呼吸法を1日に数回試してみてください。そのほかにもリラックスのためには入浴も効果的です。ぬるめのお湯(38~40℃程度)に20分程度浸かると心身をリラックスさせることができます。入浴剤やアロマオイルを活用してみるのもお勧めです。

さらに、3つのRを効果的に実践するための基盤として、バランスの良い食事と規則正しい生活習慣を意識します。朝食は一日をスタートさせて生活リズムを整える上で欠かせません。軽くて簡単に食べられるものでよいので、できるだけ食べるようにしてください。生活リズムが整い、規則正しい生活習慣を続けると睡眠の質も良くなります。栄養面では、ストレスを感じているときは、脳のエネルギー源となる炭水化物、神経伝達物質の材料となるたんぱく質、そして免疫機能を支えるビタミン・ミネラルをバランスよく摂取するようにします。特にビタミンB群(玄米、豚肉、レバーなど)、ビタミンC(かんきつ類、ブロッコリーなど)、マグネシウム(ナッツ類、海藻など)、カルシウム(牛乳、ヨーグルトなど)は、ストレス軽減に効果があるとされています。カフェインやアルコールの取り過ぎは睡眠の質を低下させるので、コーヒーやお酒の飲み過ぎには要注意です。

これらのストレス対策を自分なりのストレス対処法として習慣化することで、新生活のストレスに負けない心と体をつくることができます。

 

新環境を味方につける!スムーズな適応のためのヒント

ストレス対策とともに大切にしたいのが、新しい環境にうまく慣れることです。すぐに新しい環境に慣れるというのは難しいですが、自分のペースで新しい環境に慣れていくためのヒントを記載します。

まずは、余裕を持った行動計画を立てましょう。慣れないことに取り組むことは予想以上に負荷がかかります。例えば通勤で考えると、最初のうちは普段より少し早めに家を出るなど、時間に余裕を持った行動を心掛けることで、心の余裕も生まれます。

次に、新しい職場や学校での基本的なルールや習慣を理解することに努めましょう。分からないことがあれば、早めに周囲に質問することが大切です。質問することは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、真摯に学ぼうとする姿勢は周囲から好意的に受け止められることが多いものです。

また、新しい人間関係を築くためにも周囲の人と積極的にあいさつを交わし、会話の機会を増やすことが大事です。休憩時間に一緒にお茶を飲んだり、昼食を共にしたりする機会があれば、自然な形で関係を深められます。

相談できる人を見つけることも大切です。職場であれば先輩社員や上司など、必要に応じて適切な相談相手を見つけておくと心強いものです。プライベートでも家族や友人など、心を許せる相談相手がいれば、話すだけでストレスの軽減につながります。

最後にオンとオフの切り替えが重要です。仕事の時間が終わった後はいったん仕事のことは忘れて、休息、趣味、運動、友人との交流など自分のために時間を使ってください。オフの時間があるからこそ、柔軟に環境に適応できて本来の自分の力を発揮できます。

 

最 後 に

 

春は別れと新しい出会い、そして新しい環境での生活が始まる季節です。環境の変化にストレスを感じるのは、誰にでも起こる自然な反応ですから、試行錯誤しながら慣れていきましょう。完璧を求めすぎず自分のペースを大切に。たとえ失敗してしまったとしても、単なる「失敗」ではなく新環境への適応に必要な学びの機会と捉えれば、心の余裕が生まれます。

新しい環境は一時的な緊張を生むかもしれませんが、同時に自分を成長させる貴重な機会でもあります。心と体の声に耳を傾けながら、自分らしく新生活を楽しんでください。

 

原稿・社会保険研究所ⓒ

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