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ティーペック健康ニュース「スマホの使い過ぎが招くストレートネック症候群」
第394号 2025/7/10
ティーペック健康ニュース
発行:ティーペック株式会社
今月のテーマ
「スマホの使い過ぎが招くストレートネック症候群」
スマートフォンやタブレットは便利なデジタル機器ですが、近年、こうした機器を長時間にわたって使用し続けた結果、首や肩の不調につながる事例が増えています。その原因の一つが「ストレートネック症候群」です。首の痛みや肩凝りだけでなく、頭痛や自律神経の乱れなど、全身にさまざまな影響を及ぼすこの症状について、原因から予防法まで詳しくご紹介します。
ストレートネック症候群とは?症状と原因を知る
健康な首の骨(頸椎)は、横から見ると前方に向かって緩やかにカーブしています。このカーブは重い頭部(約5~6kg)を効率的に支えるとともに、歩行時などの衝撃を和らげる重要な役割を担っています。しかし、ストレートネック症候群では、この自然なカーブが失われ、首の骨が真っすぐになってしまいます。医学的には「頭頸部前方位姿勢(FHP:Forward Head Posture)」と呼ばれることもあります。
ストレートネック症候群になると、頭部の重さを筋肉だけで支えることになるため、首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。首や肩の筋肉が常に緊張していることで痛み、凝り、頭痛などが起こり、さらに進行すると手や腕のしびれ、目まい、吐き気、集中力の低下、疲労感といった症状が起こります。さらに首には多くの神経が集中しているため、筋肉の緊張は首を通る自律神経の働きにも影響を与え、不眠や動悸、耳鳴り、目の不調(ドライアイ)など、自律神経の乱れによるさまざまな症状を引き起こす可能性があります。
ストレートネック症候群の原因として指摘されているのが、スマートフォンやタブレットなどデジタル機器の使い過ぎです。スマートフォンやタブレットを使用する際、多くの人は画面を見るために頭を前に突き出し、うつむいた姿勢を長時間続けることになります。この姿勢では、頭部が本来の位置より前方に移動するため、首の骨と筋肉に負担がかかり、徐々に首の骨の自然なカーブが失われていってしまうのです。デスクワークでパソコンを使用する際も同様にうつむき気味の姿勢になりやすく、現代のデジタル社会では多くの人がストレートネック症候群のリスクにさらされているのです。
ただし、ストレートネック症候群の原因はデジタル機器の使い過ぎだけではありません。うつむいた姿勢を長時間続けることが原因になるため、例えば日常的に料理をする人や読書が習慣になっている人も、手元を見るためにうつむいている時間が長いことから発症する可能性があります。また、筋肉量が少ない高齢者や女性などはストレートネック症候群になりやすいといわれています。
あなたは大丈夫?ストレートネック症候群のセルフチェックと危険信号
ストレートネック症候群が心配という人は、簡単にできるセルフチェックがありますので、ご自身で確認してみてください。
まず、壁に背中を付けて自然に立ちます。立つ際は、頭の後ろ、肩甲骨、お尻、かかとをしっかりと壁に付けるようにして、真っすぐに立つようにします。もしも頭が壁に付かない場合や、力をいれないと頭を壁に付けることができない場合は、ストレートネック症候群の可能性があります。また、横から見たときに耳の位置が肩の真上にない場合や、顎が前に出ている場合も要注意です。
日常生活で感じる症状も重要なチェックポイントです。朝起きたときに首や肩が痛い、長時間同じ姿勢でいると首や肩がつらくなる、頭痛が頻繁に起こる、首を動かすときに痛みや制限を感じる、といった症状があれば、初期症状かもしれません。より進行した症状としては、手や腕のしびれ、目まい、慢性的な疲労感、不眠などがあります。これらの症状は、首の神経や血管が圧迫されることで起こると考えられています。手や腕のしびれが続く場合や、強い症状が1週間以上続く場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診しましょう。医師による詳しい検査で、他の疾患の有無などを確認する必要があります。
今日から始める!予防と改善のための実践法
ストレートネック症候群の予防と改善には、うつむき気味の姿勢の時間を減らし、正しい姿勢を維持していくことが最も重要です。例えば以下のような予防のポイントを実践してみましょう。
スマートフォンやタブレットを使用する際は、できるだけ画面を目の高さに近づけて、頭を下に向ける角度を最小限に抑えます。目の高さで持ち続けようとすると腕が疲れてしまうため、肘をテーブルなどに置いて腕を支え、画面との距離を30~40cm程度に保つようにするとよいでしょう。長時間の使用を避け、1時間に一度でもよいので休憩を取って首や肩を動かすようにしてください。
デスクワークでパソコンを使用する場合は、モニターの上端が目の高さになるよう調整し、背筋を伸ばして座ります。イスに深く腰掛け、足裏全体を床につけた状態で作業することが理想的です。キーボードとマウスは肘が90度になる位置に置き、肩の力を抜いてリラックスした状態を保ちましょう。
就寝時に合わない枕を使用することもストレートネック症候群になる原因といわれていますので、適切な高さの枕を選びましょう。仰向けで寝るときは、顎の下にシワができず首の下にできる隙間が埋まる程度の高さが理想的です。横向きで寝るときは、頭が下がったり上がったりせず、背中から首まで真っすぐな姿勢を保てる高さにします。枕が高すぎても低すぎても首に負担がかかりますので、寝返りが楽にでき、朝起きたときに首や肩が痛くない高さを目安に選んでください。うつ伏せで寝るのは首への負荷が大きいので避けてください。
意外かもしれませんが、対策の一つとしてお勧めしたいのが入浴です。温かいお風呂に首まで入ってよく温まると、首の筋肉の緊張が解け、悪くなっていた血流が改善することで筋肉の疲れがとれます。首や肩の凝りの症状の改善につながりますので、シャワーではなくゆったりと湯船につかるようにしてはいかがでしょうか。
簡単3分!首のストレッチを習慣に
最後に日常的に行える首のストレッチを紹介します。首や肩に違和感があるときや、スマートフォンを使い過ぎたとき、長時間のデスクワークの合間などに、気になる部分に合わせて選んで行ってください。1つだけでも効果がありますので、無理をせず続けやすいものから始めて、首や肩の筋肉の緊張を解いてあげましょう。
①首の前後ストレッチ
両手を膝の上に置いてリラックスします。まず、ゆっくりと頭を前に倒し、顎を胸に近づけるようにして首の後ろ側を伸ばします。10秒間キープします。次に、ゆっくりと頭を起こして正面を向き、今度は顔を天井に向けるように頭を後ろに倒し、首の前面を伸ばします。10秒間キープします。首の前後の筋肉をバランスよく伸ばすことができます。
②首の側面伸ばしストレッチ
背筋を伸ばして正面を向きイスに座ります。右手でイスの座面を軽く握り、左手を頭の右側に置きます。左手で頭を左側にゆっくりと倒し、首の右側面を伸ばします。15秒間キープした後、反対側も同様に行います。左右各2回ずつ行うと効果的です。首の横の筋肉を効率的に伸ばすことができます。
③首の回旋ストレッチ
背筋を伸ばして正面を向き、肩はリラックスさせたまま、頭だけをゆっくりと右に向けて振り返ります。無理のない範囲で最大まで回したところで5秒間キープします。ゆっくりと正面に戻し、今度は左側も同様に行います。左右各5回ずつ繰り返します。首の可動域を改善し、振り返る動作が楽になります。痛みがある場合は角度を浅くして行ってください。
④首回しストレッチ
頭をゆっくりと右回りに回し、前→右→後ろ→左の順に大きく円を描くように動かします。1周を10秒程度かけてゆっくりと行い、右回り3回、左回り3回を1セットとして行ってください。首に痛みを感じる場合は無理をせず、痛くない範囲で行ってください。血行が促進され、首周りの筋肉の緊張がほぐれます。
最 後 に
デジタル機器は私たちの生活に欠かせないものとなりましたが、正しい使い方を心掛けないと姿勢が悪くなり、ストレートネック症候群の原因になってしまいます。使い過ぎに注意して、適度な休憩と首のストレッチで予防につなげましょう。
夏の時季は冷房で首や肩が冷えることで筋肉が緊張しやすくなり、首の痛みや肩凝りの症状が悪化する可能性があります。冷房の効いた室内では薄手のスカーフやタオルで首元を温めたり、首や肩のストレッチで筋肉をほぐしたりすることがお勧めです。
原稿・社会保険研究所ⓒ