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ティーペック健康ニュース「秋の体調不良の正体 知って防ぐ!秋バテ対策」
第396号 2025/9/24
ティーペック健康ニュース
発行:ティーペック株式会社
今月のテーマ
「秋の体調不良の正体 知って防ぐ!秋バテ対策」
夏の猛暑を乗り越えても油断は禁物。夏の疲れと季節の変わり目が重なる9月は、だるさや食欲不振、睡眠の質の低下など、いわゆる「秋バテ」に悩む方が急増します。なぜこの時期に体調を崩しやすいのか、その正体を知って効果的な対策を身に付けましょう。
秋バテの正体とは?メカニズムと症状を知る
秋バテとは、夏の疲れが蓄積した状態で秋への季節の変わり目を迎えて起こる体調不良のことです。夏の間に疲弊した自律神経が急激な環境変化に対応し切れなくなることで、さまざまな不調が現れるようになります。
夏の間、私たちの体は暑さにより想像以上に大きな負荷を受けています。連日の猛暑の中、冷房の効いた室内と屋外の激しい温度差を行き来することで、体温調節をつかさどる自律神経は常にフル稼働状態を続けています。この状態が数ヵ月間続くことで自律神経は疲弊し、正常な働きを続けることが難しくなっています。
そこに追い打ちをかけるのが、秋口の急激な気候変化です。朝晩は涼しくなる一方で日中はまだ暑さが残り、1日の中でも大きな気温差が生じます。湿度も夏場とは変わり、空気が乾燥し始めます。このような環境の変化に対して、すでに疲れ切った自律神経はうまく対応できず、体の調整ができなくなって体調不良を引き起こしてしまうのです。
さらに、秋が深まるにつれて徐々に日照時間が短くなっていきます。日光を浴びる時間が減ると、「セロトニン」という脳内物質の分泌量が減少します。セロトニンは感情を安定させるために重要な脳内物質であるため、減少することで心の不調につながってしまうのです。セロトニンは体内時計の調整にも関係しており、不足すると睡眠リズムが乱れ、睡眠不足となって疲労回復がうまくいかない悪循環にも陥ってしまいます。
秋バテと夏バテは大差がないと思われがちですが、実は異なる特徴があります。夏バテは暑さによる食欲不振や脱水が主な原因となりますが、秋バテは夏の連日の猛暑のダメージに引き続く急激な気候などの変化による自律神経の乱れが主な原因です。そのため、夏バテでは体の症状が中心となりますが、秋バテでは気分の落ち込みや意欲の低下といった精神的な症状も現れやすくなります。
秋バテの代表的な症状としては次のようなものが挙げられます。
こんな症状があったら秋バテかも?
| 主な症状 | 解説 | 
| だるさ・疲労感 
 | 十分な睡眠と休養を取ったつもりでも体のだるさや疲労感が取れません。体を動かすことがおっくうになり、やる気が出なくなります。 | 
| 食欲不振 
 | 食欲がなくなり、食事をしてもおいしさを感じられなくなります。胃もたれ、下痢、便秘などの胃腸の症状が現れます。 | 
| 頭痛・肩こり・めまい 
 | 自律神経の乱れや血行不良などにより、頭痛、肩こり、首の痛み、めまいなどの症状が現れます。 | 
| 睡眠障害 
 | 寝付けない、夜中に何度も目が覚める、早朝に目覚めるといった睡眠に関する不調が現れます。 | 
| 心の不調 | 理由もなく気分が沈んだり、漠然とした不安を感じたり、気力が湧かない、物事を楽しめない、集中力が続かないといった心の不調が起こることがあります。 | 
症状が続く場合は早めの受診を
秋バテの症状がつらく日常生活に支障がある場合や、2週間以上改善が見られない場合は、内科や心療内科などの医療機関を受診することを検討しましょう。
秋バテの症状は、医学的には「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれる、原因となる病気がはっきりしない体調不良であることが多いです。このため、医療機関を受診すると、まず検査で原因となる病気が隠れていないかを確認し、その上で生活習慣の改善に向けた指導や、症状に対応した対症療法が行われます。必要に応じて睡眠障害には睡眠薬、頭痛には頭痛薬など、症状に対応した薬が処方されますので、つらい症状を和らげることができます。場合によっては漢方薬による治療が選択されることもあります。
今日から始める!秋バテ改善の実践対策
秋バテの改善には、乱れた自律神経を整えることが最も重要です。日常生活の中で実践できる秋バテ改善に向けた具体的な対策をご紹介します。これらの対策を続けることで、体は徐々に秋の気候に適応し、自律神経の働きが正常になることで秋バテの症状が改善していきます。
●睡眠の質を良くしよう!
規則正しい睡眠は体内時計を整え、自律神経の働きを正常化する基本となります。就寝時間と起床時間を一定に保ち、7~8時間の質の良い睡眠を心掛けましょう。就寝時は寝室の環境を室温18~22℃程度、湿度50~60%に保ち、就寝1時間前からはスマートフォンやパソコンの使用を控えます。朝は起床後すぐに日光を浴びると、体内時計をリセットして睡眠リズムを整えることができます。
●食事で体を元気にしよう!
栄養バランスの良い食事は疲労回復と免疫力向上に欠かせません。疲労回復に効果的なビタミンB群を含む食品(豚肉、レバー、うなぎ、玄米、納豆、きのこなど)やビタミンCを含む食品(キウイフルーツ、かき、さつまいも、かぼちゃなど)を積極的に摂取しましょう。1日3食を規則正しい時間に食べるように心掛け、胃腸が弱っている場合は消化の良い温かい食べ物のメニューにします。
●適度に体を動かそう!
適度な運動は血行を良くして自律神経を整える効果があります。急に激しく運動すると体の負担になるため、1日20~30分程度の軽いウォーキングから始めてはいかがでしょうか。夕方の涼しい時間帯に歩くことで適度な疲労感が得られ、夜の睡眠の質も向上します。室内でのストレッチやヨガも効果的で、首や肩周りの血行を改善し、筋肉の緊張をほぐすことができます。
●服装で気温の変化に対応しよう!
9月は1日の気温差が大きいため、服装による体温調節が体調管理の鍵となります。朝晩は涼しくても日中は暑くなるので、薄手のカーディガンやジャケットなどを活用して脱ぎ着しやすい重ね着スタイルを心掛けましょう。特に首、手首、足首の「3つの首」を冷房で冷やし過ぎないようにします。また、冷房の設定温度を夏場より少し高めにし、室温と外気との気温差を小さくしましょう。
●お風呂に入ってリラックスしよう!
入浴は体を温めて心身の緊張をほぐし、自律神経を整える最も効果的な方法の一つです。シャワーで済ませるのではなく、38~40℃のぬるめのお湯のお風呂に15~20分程度ゆっくりとつかりましょう。入浴剤やアロマオイルを使用するとリラックス効果が高まります。就寝の1~2時間前に入浴を済ませると、就寝時に向けて体温が自然に低下して眠気が訪れ、質の良い睡眠につながります。
●水分補給も忘れずに行おう!
水分補給は血行を良くし、疲労物質の排出を促進します。涼しくなったからといって水分補給を怠ると、血行不良により疲労がたまりやすくなります。1日1.5~2リットルを目安に小まめに水分を補給するように心掛けましょう。冷たい飲み物ばかりでなく、常温や温かい飲み物も取り入れて体を冷やし過ぎないよう注意することも大切です。
最 後 に
四季のある日本では、季節の変わり目に体調の変化を感じるのはごく自然なことです。冬の風邪、春の花粉症、夏の夏バテ、そして秋には秋バテと、季節に特有の体調不良があります。それぞれの季節に合わせて上手に対応していきたいものです。
私たちの体には、気付かないうちに夏の大きな疲労が残っています。疲れた体には、十分な休息と栄養、そして何より体が秋に慣れるための時間が必要です。すぐに元の状態に戻そうと焦るのではなく、秋の季節の訪れに合わせて、自分でできる生活改善を行いながら体が自然に回復するのを助けてあげましょう。
原稿・社会保険研究所ⓒ





