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ティーペック健康ニュース「女性に多いお尻トラブル 痔の症状とセルフケア」
第402号 2026/3/23
ティーペック健康ニュース
発行:ティーペック株式会社
今月のテーマ
「女性に多いお尻トラブル 痔の症状とセルフケア」
痔は「男性の病気」というイメージがあるかもしれませんが、女性でかかる人も決して少なくありません。それは女性特有の要因があるために、痔を発症してしまいやすいからです。また、恥ずかしさから医療機関の受診をためらう人も多く、症状を悪化させてしまう場合もあります。本記事では、痔につながる女性特有の要因、痔のタイプと症状、セルフケアのポイント、医療機関の受診を検討すべきタイミングなどについてご紹介します。
「痔は男性の病気」は誤解?女性が痔になりやすい理由
痔とは、肛門やその周辺の血行が悪くなり、腫れたり傷ついたりすることで起こる病気の総称です。お尻の痛みや排便時の出血などの症状を引き起こし、症状がひどい場合は痛みが強くて座れないということもあります。日本人の3人に1人が痔を経験するといわれるほど身近な病気ですが、「恥ずかしい」というイメージが付きまといます。このため、特に女性では症状があっても我慢してしまうことが多く、医療機関の受診をためらい、治療が遅れてしまいがちだといわれています。しかし、女性特有のさまざまな要因から、女性は痔になりやすいとされており、注意が必要です。
まず挙げられるのが便秘です。女性ホルモンの影響や、ダイエットによる食事量の減少、水分摂取不足などから、女性は男性に比べて便秘になりやすい傾向があります。便秘になると排便時に強くいきむことが増え、肛門周辺の血管に大きな負担がかかります。便秘で硬くなった便を無理に排便した際に肛門の皮膚が裂けてしまうと、痔になってしまいます。
妊娠・出産も痔を引き起こす大きな要因の一つです。妊娠中は大きくなった子宮が骨盤内の血管を圧迫するため血流が悪くなり、痔になりやすくなります。出産時に強くいきむことで痔が悪化するケースもあります。産後に痔の症状を訴える女性は多く、「出産をきっかけに痔になった」という人は少なくありません。
女性に多い冷え性も、痔の要因となることがあります。冷え性で全身の血行が悪くなると、肛門の周囲の血液の循環が滞り、痔になりやすくなります。また、デスクワークで座りっ放しの時間が長い場合や、立ち仕事で長時間同じ姿勢を続けている場合には、同じように血行が悪くなることで痔になりやすくなります。
あなたの症状はどのタイプ?痔の種類を知ろう
痔には大きく分けて3つの種類があります。それぞれ原因や症状が異なりますので、自分の症状がどのタイプに当てはまるかを知っておきましょう。
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名称 |
症状 |
原因など |
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いぼ痔(痔核) |
肛門周辺の血管の血流が滞って腫れ、いぼのようなふくらみができた状態。肛門の内側にできる「内痔核」と外側にできる「外痔核」がある。内痔核では痛みは少ないが、外痔核では痛みが強く、腫れて硬くなることもある。内痔核が重症化すると肛門の外に出てきてしまうことも。 |
冷え性や長時間のデスクワークなどによる血行不良、排便時のいきみ過ぎや便秘による肛門への負担などが原因で起こる。女性では妊娠・出産をきっかけに発症するケースがある。 |
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切れ痔(裂肛) |
硬い便を無理に出したときや下痢で便を何度も出したときに肛門の皮膚が切れてしまった状態。排便時に傷の部分を便が通ることで強い痛みを感じる。出血量はそれほど多くなく、トイレットペーパーに血が付く程度。 |
ダイエットなど偏った食生活で便秘がちとなり、硬くなった便を排便することで起こりやすい。痛みを恐れて排便を我慢することでさらに便秘が悪化するなど、症状が慢性化しやすい。 |
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痔ろう(穴痔) |
肛門の内部に膿がたまった状態(肛門周囲膿瘍)が悪化し、その膿を排出するためのトンネル状の管ができた状態。膿がたまっている状態では肛門の周囲が腫れて強い痛みがあるが、痔ろうから膿が排出されると一時的に痛みが和らぐ。化膿している状態なので発熱することも。管から常に膿が出続けるため、下着に汚れが付く。 |
下痢などで肛門の内部のくぼみに便などが付着して感染を起こし、膿がたまることで発症する。ストレス、睡眠不足、お酒の飲み過ぎ、糖尿病などの持病の影響で体の抵抗力が弱っていると起こりやすい。自然には治らないので、医療機関の受診が必要。 |
便秘対策がカギ! 日常でできるセルフケア
痔の予防と症状の改善には、日常生活の見直しが欠かせません。お尻のためになるセルフケアのポイントを確認してみましょう。
痔を防ぐために特に重要なのが便秘と下痢を防ぐことです。食生活の面からは、食物繊維を多く含む野菜、果物、海藻、きのこ類などを積極的に取り、腸内環境を整えましょう。ヨーグルトや納豆などの発酵食品も腸内環境を整えるために効果的です。水分不足も便秘につながるため、1日1.5~2リットルを目安に水分を取るように心掛けてください。朝食を食べると朝から腸の動きが活発になるため、自然な排便習慣が付いて便秘の予防につながります。
便秘を引き起こす要因の一つとして無理なダイエットの影響が挙げられます。ダイエットのために食事の量を過剰に減らしてしまうと、便が出にくくなって便秘につながります。ダイエットをする場合でも、栄養バランスを考えながら食物繊維の多い食品を十分に食べ、便の量が少なくなり過ぎないようにすることが大切です。
お酒や香辛料など刺激物は下痢を引き起こし、痔を悪化させる要因になります。取り過ぎないようにしましょう。
もう一つ重要なのは、排便習慣の改善です。便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレに行くようにします。便意があるのに我慢してしまうと、便から水分が吸収されて便が硬くなり、排便時に肛門に負担をかけます。また、トイレでは長時間いきまず、長居をしないことを心掛けましょう。排便は3分程度を目安とし、出なければ無理に出そうとせずにいったん切り上げるようにしてください。
注意したいのが、温水洗浄便座の使い過ぎです。お尻を清潔にするために排便時に温水洗浄便座で肛門を洗い過ぎたり、水流を強くし過ぎたりすると、かえって肛門を傷つけて炎症を引き起こし、痔の原因になります。温水洗浄便座の使用は控えめにしておきましょう。
便秘対策と排便習慣の改善に加えて重要なのが、血行を良くすることです。ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲で運動する機会を増やすと、全身の血液の循環が良くなり痔になりにくくなります。デスクワーク中心の仕事の場合は、1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをお勧めします。イスに長時間座る際は、円座クッションを使用して肛門の周囲の血管への負担を軽減させましょう。
冷え対策として入浴も効果的です。シャワーだけで済ませずに、ぬるめのお湯(38〜40℃程度)にゆっくりつかると、全身が温まり血行が良くなります。入浴の際にお尻の周囲を洗って清潔にすることも、痔の予防のためには重要です。ただし、肛門をゴシゴシと強く洗い過ぎるとデリケートな皮膚を傷つけてしまいかねませんので、ご注意ください。
我慢は禁物!医療機関を受診すべきサイン
痔の症状が軽い場合は、市販の座薬や軟こうを使用することで症状の改善が期待できます。痛みや炎症を抑える成分が配合された製品が多く販売されていますので、薬剤師に相談して自分の症状に合ったものを選びましょう。
ただし、市販薬を使用しても1〜2週間で改善しない場合は、医療機関の受診を検討してください。恥ずかしいからと受診を先延ばしにして症状が悪化すると、手術が必要になることもあります。
出血が続く場合や出血量が多い場合はすぐに医療機関の受診が必要です。痔からの出血は通常少量ですが、量が多かったり、排便とは関係なく出血したりする場合は、大腸がんなど痔以外の重大な病気が隠れていることもありますので、自己判断せずに受診することが大切です。
痛みが強い場合や、市販薬を使っても改善しない場合も受診のサインです。特に、いぼ痔が肛門の外に出たまま戻らなくなった状態は強い痛みを伴い、早急な処置が必要です。肛門周囲が腫れて熱を持っている場合や肛門の周囲に痛みがあり発熱している場合は、痔ろうの前段階である肛門周囲膿瘍の可能性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。肛門周囲膿瘍が悪化して痔ろうになると、膿が出る管を取り去る手術が必要になってしまいます。
受診先は肛門科や肛門外科が専門ですが、外科や消化器外科でも診察を受けられます。近年は女性医師が在籍していたり、女性専用の外来を設けていたりする医療機関も増えていますので、インターネットで検索してみましょう。
最 後 に
痔は決して珍しい病気ではなく、女性にも多く見られます。恥ずかしさから一人で悩みを抱えがちですが、実は悩んでいる人が多いのです。痔の予防のために便秘や下痢を防ぐ食生活、排便習慣の改善、適度な運動、冷え対策などを始めてみましょう。
もし痔の症状がある場合は、躊躇せずに早めに専門の医療機関を受診することが大切です。痔は悪化すると治療が難しくなります。近年は女性医師の診察が受けられる医療機関も増えていますので、一人で抱え込まずに医師に相談しましょう。
原稿・社会保険研究所ⓒ





