保土谷化学健康保険組合

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新着情報

[2019/03/15] 
テーペック健康ニュース第318号~「職場環境の変化で意識したい『適応』とは」

第318号 2019/3/10

ティーペック健康ニュース

発行:ティーペック株式会社

今月のテーマ『職場環境の変化で意識したい「適応」とは』

3月から4月にかけては、別れと出会いが多い季節です。特に職場では、新入社員が入ってきたり、人事異動による転勤や上司や部下、同僚の配置転換など、何らかの環境の変化がある人も増えることでしょう。異動はなくても、新しいチームで新規業務に取り組むことになった人もいるかもしれません。

こうした中、重要なポイントとなるのが、「いかに上手に新しい職場環境に適応していくか」ということです。最近では、職場環境がストレスとなることで、心と体の健康が保てなくなることを「職場不適応」と呼び、その後うつ病などの心の病気へと発展するリスクがあることから問題となっています。また一方、必要以上に適応してしまい、オーバーワークになって不調をきたし、最悪の場合、過労死などを引き起こす、「職場過剰適応」という状態に陥るケースもあります。

自分のペースで健康的に職場の環境に適応するために、どんなことに気を付けたらよいのかを考えみたいと思います。

 

ストレスのすべては「不適応」から生じている

「適応」という言葉には、医学的・医療的なことや生物学的な意味もありますが、ここで意味するのは心理学上の適応です。人間が生活環境に応じて現状に適した習慣・心理に変化し、強い不安や葛藤を感じることなく、周囲と調和して生活することを指します。では、仕事や職場に適応するということはどういうことでしょうか。

例えば、新しい上司は悪い人ではないけれど物事に細かい性格で、同じことを何度も言う人とします。一日中、似たような小言が多かった場合、慣れない部下はストレスに感じ、うんざりしてしまうでしょう。しかし、その状態を俯瞰(ふかん)してみると、上司と部下との間に意識のズレがあり、部下の方は新しい上司にうまく適応できていないということになります。

重要なことは、すべてのストレスは、不適応状態にあることの現れだということです。現状に適応できればストレスは軽減されるのですから、ストレスを感じるようなことがあったら、適応するにはどうすればいいかを考えて実行すればいい、ということになるでしょう。

このケースの場合は、部下が上司の小言を聞き流せるようになれば、不満を募らせることも、イライラすることもなくなるでしょう。または、上司の気分を害することなく、小言をやめてくれるように伝えることができれば、部下のイライラも解消するわけです。これが、現状に適応できている状態なのです。

 

「適応」するためにはまず一度、現状を受容してみよう

職場の人間関係でストレスを感じたとき、多くの人は相手に非があると感じ、改めるべきだと考えがちです。とはいえ、イライラしていたり、不満が募っている状態では解消するための良い方法がなかなか浮かばないことが多いものです。不満や怒り、不安や恐れといったマイナス感情が支配的な状況下では、冷静な思考を行う大脳の働きが制限されてしまうためです。

そこで大切なのは、一度現状をそっくりそのまま受け入れてみるということ。相手に変わってほしいと思っても、こちらが行動しなければ、何も変わりません。まずは受容することで、マイナス感情もおのずと立ち去ってくれます。その上でどうしても職場や相手の対応に問題があると感じたら、理解者を見つけて相談したり、改善案を提示しましょう。気持ちが前向きになることこそ、適応への第一歩といえます。

 

職場のストレスはどうして生まれる?

職場のストレス要因は大きく分けて以下の3つに分類されるといわれています

【仕事の質・適性】

転勤や単身赴任などの配置転換や、営業職やIT業務などへの適性、交代制勤務など、職務条件や質に関わるもの。責任の重い仕事を任されていることへの重圧、仕事上の失敗など。

【仕事の量】

日常的な仕事の量が多い、増加している、長時間労働による負担、逆に担当する仕事が極端に減ったなど。

【職場の人間関係】

社内では上司との対立やパワハラ、同僚とのライバル関係、部下との関係、対外的には顧客とのトラブルなど。

 

◇    ◇    ◇

 

過労死・うつ病・自殺予防、職場復帰のケアやパワハラ・セクハラ対策…。現在、企業は社員に対し、メンタルケアの面でさまざまな対応を迫られています。厚生労働省による平成29年の調査によると「現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者」の割合は約6割に上ります。そのうちストレスとなっている事柄は「仕事の質・量」が約6割と最も多いものの、対人関係も3割超です。

現在、政府は「働き方改革」の大きな柱の1つとして「長時間労働の是正・削減と多様で柔軟な働き方の実現」を掲げていますが、労働時間や働き方だけでは、対人関係のストレスによる職場不適応は防ぐことは難しいのではないでしょうか。企業や上司が社員や部下のメンタルケアを怠らないことはもちろん、どの立場にあっても一人一人が自らのストレス耐性の強化を心掛け、職場環境に適応することを意識することが大切です。

<参考資料>

『さわやか』2018春号「ストレスと上手につきあうう」(制作/社会保険研究所)

厚生労働省「平成29年労働安全衛生調査(実態調査)」

原稿・社会保険研究所ⓒ

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