保土谷化学健康保険組合

保土谷化学健康保険組合

文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

新着情報

[2019/10/10] 
ティーペック健康ニュース第325号~「知っておきたい!合併症を引き起こす糖尿病の怖さ」

第325号 2019/10/10

 

ティーペック健康ニュース

 

発行:ティーペック株式会社

今月のテーマ『知っておきたい!合併症を引き起こす糖尿病の怖さ

いまや日本人の5人に1人が糖尿病、もしくはその予備群といわれます。しかし、日常的に耳にする身近な病気になったにもかかわらず、糖尿病について正しく理解している人は意外に少ないのではないでしょうか。

糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる病気ですが、一度発症すると治癒は難しく、放っておくと進行して深刻な合併症引き起こし、命を落とす危険性もあります。とはいえ初期にはほとんど自覚症状がないため、健診などで高血糖を指摘されても、軽く考えて放置してしまいがちです。高血糖の状態を続けることと、その先にある糖尿病や合併症の怖さを知って、血糖コントロールの重要性を認識しましょう。

 

そもそも血糖コントロールとは?

糖尿病は、血糖値の高い状態が続くことで起きる全身の病気です。血糖とは、体の個々の細胞がエネルギー源とする血液中のブドウ糖のことで、ご飯やパンなどの穀類、イモ類や菓子などの糖質に含まれています。食事で摂取したブドウ糖は肝臓や筋肉に取り込まれ、血液を通して体中に送り出されているのです。

血糖は食事をすると増え、食後1~2時間をピークに減っていきます。生命維持に必要な血糖の量は決まっていて、常にコントロールされる仕組みになっています。この血糖コントロールの重要な役割を担っているのが、インスリンと呼ばれるすい臓から分泌されるホルモンです。

インスリンの働き掛けで、血管、肝臓、筋肉や他のホルモンなどが相互に働いて、血糖の量がコントロールされているのです。

 

血糖コントロールが崩れると糖尿病に

インスリンの分泌の量が減る、あるいは分泌されなくなったり、働きが悪くなると、血糖コントロールがうまくできなくなり、これが常態化すると糖尿病へと移行していきます。血糖コントロールが崩れるのは、肥満や生活習慣の乱れから、内臓脂肪細胞が必要以上に大きくなってしまうことが要因の一つです。

内臓脂肪からインスリンの働きを悪くする生理活性物質が出るため、血糖コントロールができずに血液中にブドウ糖があふれ、血管壁を傷付けるようになります。また、肝臓や筋肉に脂肪が付いてブドウ糖を取り込む機能さらにが低下し、血糖値の上昇が続いてしまい、糖尿病へと移行してしまいます。

 

【血糖コントロールができなくなる生活要因】

・食べ過ぎ      ・食事が不規則で、遅い時間の夕食
・偏った食事     ・間食や夜食が多い

・食後寝るまでの時間が短い(30分~1時間)
・朝は欠食し、昼はドカ食い
・多量飲酒
・身体活動不足    ・ストレスの蓄積

 

知らないことが一番怖い、糖尿病の合併症

糖尿病の怖さは合併症にあるといわれます。しかし、その怖さをよく知らないで高血糖状態を放置していると、やがて糖尿病を発症し、全身の血管と神経が侵されて、数年から10年程度で全身の臓器にさまざまな障害を引き起こします。その代表が3大合併症です。

 

糖尿病の3大合併症

糖尿病性網膜症

中途失明の原因に!

網膜の毛細血管に障害が起こり、次第に視力が失われていき、やがて失明する危険があります。糖尿病性網膜症は、緑内障に次ぐ中途失明の原因の第2となっています。

糖尿病性腎症

人工透析が必要に!

腎臓の毛細血管に障害が起こり、慢性腎臓病を発症します。悪化すると人工透析治療が必要になります。糖尿病性腎症は糖尿病患者の3分の1に発症するといわれ、人工透析導入の原因の第1位です。

糖尿病性神経障害

重症化で足切断も!

手足のしびれや痛みなど、末梢神経障害が起こり、足の指などが壊死し、さらに足を切断し、要介護になることもあります。

他にも、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞や、呼吸器系では肺炎、肺結核など、また、最近では、がん、認知症、アルツハイマー病も合併症として引き起こすことが分かっています。

いずれの合併症も、発症前の糖尿病予備群や、初期の糖尿病のうちに、食事療法や適度な運動を行うなど、生活習慣の改善を行うことで予防することができます。合併症にならないためにも、高血糖の裏に潜む危険を知っておくことが大切です。

 

◇    ◇    ◇

 

糖尿病は、発症要因から大きく1型、2型に分けられますが、今回は、日本の糖尿病患者で約95%を占める2型糖尿病について触れました。

日本人は欧米人と比べ、血糖コントロールのカギを握るインスリンの分泌能力が低く、約半分といわれます。そのため、肥満でなくても2型糖尿病になりやすい傾向にあり、太っていないからといって無関係ではいられません。また、糖尿病に関する知識が広く浸透しておらず、悪化すると人工透析が必要になることは思い浮かべても、失明や足切断の可能性までを知る人は少ないようです。

生活習慣が乱れると誰にでも糖尿病になる可能性があること。また、高血糖をそのままにしていると糖尿病を発症してしまうこと。さらに治療や生活習慣の改善を怠った場合に待ち受ける恐ろしい合併症の数々。しかし、それらは早い段階で生活習慣を改善し、血糖コントロールを正しく行うことで防ぐことができるということを、まずは知っていただきたいと思います。

 

原稿・社会保険研究所ⓒ

ページ先頭へ戻る