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ティーペック健康ニュース第332号「高血糖と指摘されたら!~危険な『糖尿病予備軍』とは」
第332号 2020/5/10
ティーペック健康ニュース
発行:ティーペック株式会社
今月のテーマ『高血糖と指摘されたら! 危険な「糖尿病予備群」とは』
糖尿病は、重篤な状態になるまで自覚症状が乏しいことから、高血糖の段階で血糖値を意識し、生活習慣の改善を行うこと以外に発症を食い止める手立てはありません。さらに糖尿病は、一度発症すると治癒することはなく、進行すると失明したり、壊疽を起こしたり、人工透析治療が必要になるなど、重症化する可能性もあります。
健康診断などで血糖値が高く「要再検査」「要精密検査」になっても、「体調が悪くないから」と受診しないまま放置していませんか。高血糖という体の赤信号を無視すると糖尿病に向かって直進することになってしまいます。
糖尿病予備群とはどんな状態か
誰でも食事をすると一時的に血糖値が高くなりますが、「インスリン」というホルモンがすい臓から分泌されることで時間とともに正常値に戻ります。ところが、このインスリンの分泌量が少なくなったり、うまく働かなくなったりすると、血糖値の高い状態が慢性化してしまいます。これが、糖尿病です。糖尿病予備群とは、血糖値が正常値より少し高いものの、まだ糖尿病の診断基準まで至っていない境界型、いわば糖尿病になりかけの状態のことです。
数値としては、糖尿病が「空腹時血糖値が126mg/㎗以上、または75gブドウ糖負荷後2時間の血糖値が200mg/㎗以上」に対し、糖尿病予備群は「空腹時血糖値が110~125mg/㎗」か「75gブドウ糖負荷後2時間の血糖値が140~199mg/㎗」かのいずれかの場合の人を指します。
「高血糖」は崖っぷち! 放置すると…
糖尿病は一度発症してしまうと、元に戻る(治る)ことは困難で、一生付き合っていく必要があります。だからこそ、糖尿病予備群のうちに早期発見・早期治療を行えるかどうかが、その後のライフスタイルのあり方の分かれ道となってきます。
■糖尿病の進行過程
初期:自覚症状はほとんどない これが問題です!
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進行すると:喉が渇く、食欲が増す、 痩せる、疲れやすい、多尿
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さらに進行すると:血管の障害により、重大な合併症が現れ始める
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糖尿病合併症に :三大合併症が悪化すると①腎症→人工透析 ②網膜症→失明 ③神経障害→壊疽
※他にも心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす危険性もあり。
すぐに始めたい! 血糖コントロールのための3つのアクション
健診で「要再検査」「要精密検査」の判定が出たら必ず精密検査を受けましょう。できれば糖尿病治療のプロであり専門スタッフと連携している、「糖尿病専門医」を受診することをお勧めします。 ※全国の専門医と所属施設名については日本糖尿病学会ホームページから検索することができます。 日本糖尿病学会: http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/ 2.必要であればきちんと治療する 血糖コントロールは適切な食事指導と運動による生活習慣の改善が基本ですが、必要に応じて薬による治療を行います。専門医の指導の下、きちんと治療を続けましょう。 3.生活習慣の問題に気付いて改善 高血糖になってしまう多くの人が健康を意識することなく、不規則な生活や食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足などで、体が悲鳴を上げている状態です。糖尿病を発症していない今のうちに生活習慣の改善を始めましょう。 |
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう中、感染した場合に重症化のリスクとなる基礎疾患として、心疾患、慢性呼吸器疾患、高血圧とともに糖尿病も挙げられています。血糖値が高くなることで白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、病原菌と十分に闘えない状態になることがあるからです。
すでに糖尿病と診断され、治療を受けている人の多くは、自身の感染症へのリスクの高さを理解し、主治医から感染予防についてのアドバイスを受け実行していることでしょう。しかし問題なのは、高血糖にもかかわらずその危険性を理解せずに放置し、良くない生活習慣で過ごしている糖尿病予備群の場合です。他にも歯周病や皮膚、呼吸器、尿路などの感染症と糖尿病の関係が指摘されています。糖尿病予備群の場合はそれら感染症のリスクも考慮した上で、少しでも血糖値を正常値に近づけるよう生活習慣の改善に取り組んでいきたいものです。
原稿・社会保険研究所ⓒ